概要
3年前にLTSリリースシリーズが導入されたことに続き、今月2026年6月にはカレンダーバージョンへの移行が発表され、MySQLのバージョンに関する情報を再度整理する必要がありそうです。 ここでは最近導入された用語やバージョンモデルをおさらいしつつ、今後リリースされるバージョンのサポート期間を整理します。
関連用語
| 用語 | 説明 | コメント |
|---|---|---|
| メジャーバージョン番号 | 三桁で表現されるx.y.zのxの部分 |
sys.version_major()がこの値を返す |
| マイナーバージョン番号 | 三桁で表現されるx.y.zのyの部分 |
sys.version_minor()がこの値を返す |
| パッチバージョン番号 | 三桁で表現されるx.y.zのzの部分 |
マニュアルにはpatch versionという説明はないため、慣用表現かもしれない。sys.version_patch関数が返すのはこの部分。 |
| リリースシリーズ | 三桁で表現されるx.y.zのx.yの部分 |
8.0のマニュアルまではこの用語の説明があった(the major and minor numbers constitute the release series number)が、8.4以降は記載がなくなっている |
| CPU | Critical Patch Updates. MySQLにいては通常のマイナーリリース | Oracleのregular quarterly security patching cycleに合わせて、1, 4, 7, 10月にリリースされる |
| CSPU | Critical Security Patch Updates. | 脆弱性対応が必要な場合にCPUとは別でリリースされる更新 |
バージョンモデルの変遷
最近(8.0以降)のバージョンモデル(Versioning Model)の変化は先に上げた大きく2つです。
Long-Term Support(LTS)リリースシリーズ導入
MySQL :: Introducing MySQL Innovation and Long-Term Support (LTS) versionsが2023年7月に公開
- MySQLのリリースシリーズをLTSシリーズとInnovationリリースに分類し、新機能の追加はInnovationリリースのみに行われるように変更した
- どちらのリリースシリーズもプロダクショングレード(production-grade quality)
- 8.0, 8.4, 9.7がLTSバージョンになることが発表された
- LTSリリースシリーズについて
- おおよそ2年ごとにリリースされる
- そこまでのInnovationリリースの内容がまとめられたもので新機能の追加はない
- LTSバージョンがマイナーバージョン番号の最後となりそれ以降メジャーバージョン番号.マイナーバージョン番号部分(リリースシリーズ部分)が増えることはない
- サポート期間は8年間(後述)
- Innovationリリースについて
- バグ修正とセキュリティパッチの他に新機能がリリースされるバージョン
- CPU,CSPUの仕組みで少なくとも3か月に一度リリースされる
- リリースされる月は1, 4, 7, 10月と決まっている
- サポート期間は次のマイナーリリース(LTSかInnovationのリリース)までの3か月間
- アップグレード、ダウングレードについて(概要)
- LTS内では機能とデータ型(data format)は変化しない
- LTS間のアップグレードは1つ先(次に大きいバージョン番号)に対してはインプレースでも可能
- ダウングレードもインプレースでなければ可能
- レプリケーションは1つ先(次に大きいバージョン番号)に対してはsourceのバージョンのほうが低くても可能
カレンダーバージョン(Calendar Versions)の導入
A More Predictable MySQL Release Model: Calendar Versions, LTS, and Innovationが2026年6月に公開
- バージョン体系が西暦の下二桁(yy)と0埋めしない月で
YY.M.xとなることが発表された- x部分はLTSの場合のみ増加する
- リリースされた時期がバージョンからわかるようになる
- 9.7に続く次のInnovationリリースからこの方式が適用される模様
- 2026年7月にInnovationリリースの
26.7.0がリリースされる - 8.4, 9.7はLTSなので、次期バージョンは8.4.11と9.7.2
- 9.7の次のLTSバージョンは
28.4.0
- 2026年7月にInnovationリリースの
サポート期間について
MySQLのサポート期間はOracleのサポート期間と同様に3つの期間に分類されている。
MySQL Community Editionに関してはサポート契約という概念は存在せず、バグ修正やセキュリティパッチが提供される期間という意味ではExtended Support終了までの8年間と考えて良い(はず)。
また、Innovationリリースは次のCPUリリースがあるまでがサポート期間なので、LTSの場合のみが対象。
| サポートタイプ | 説明 |
|---|---|
| Premier Support | リリース後の5年間 |
| Extended Support | Premierサポート期間後の追加の3年間 |
| Sustaining Support | 既存パッチ・既存ドキュメントへのアクセスのみが可能な期間 |
今後の各バージョンのサポート期間
現行バージョンと直近のLTSバージョンのリリース予定とサポート終了日は以下。
| LTSバージョン | リリース日 | サポート終了日 |
|---|---|---|
| 8.4 | 2024年4月 | 2032年4月(予定) |
| 9.7 | 2026年4月 | 2034年4月(予定) |
| 28.4 | 2028年4月(予定) | 2036年4月(予定) |
すでにEoLを迎えている8.3以前と9.0~9.6を除き9.7と今後リリースが予定されるバージョンとそのサポート期間を示す。
- Premierサポート期間を緑色、Extendedサポート期間を黄緑色
- パッチバージョンは不定期にリリースされる可能性があるCSPUで上がるため、バージョンを示さず
(CPU)と表現している- 8.4.10, 9.7.1はCSPUによりパッチバージョンが上がった例

Q&A
Q1, 以前GAバージョンが出る前にあったRCやDMRリリースはない?
ありません。
5.7や8.0ではRelease Candidate(RC)やDevelopment Milestoneリリース(DMR)がGA(General Availability)バージョンがリリースされる前にありました。
LTSリリースシリーズ導入時にLTSとInnovationリリースの両方ともプロダクショングレード(production-grade quality)だと書かれており、こういったリリースはなくなったようです。
Q2, 各バージョン間のアップグレードパスに変化はありますか?
MySQL :: Introducing MySQL Innovation and Long-Term Support (LTS) versions で示された方針を確認されることをおすすめします。
また、各バージョンへのUpgrade Pathがバージョンごとのマニュアルにあるので、アップグレードを計画する際はこちらも参考にしたうえで検証もすることをおすすめします。
- MySQL :: MySQL 8.4 Reference Manual :: 3.2 Upgrade Paths
- MySQL :: MySQL 9.7 Reference Manual :: 3.2 Upgrade Paths
Q3, MySQLをフォーク、利用しているプロダクトのバージョンモデルについての情報はありますか?
個別に調査している状態で、この記事のスコープ外としています。
例えばPerconaはLTSバージョンしかサポートしないようです。
Q4, 8.0は...?
8.0はすでにEoLです。
8.0.0のリリースは2016年、GAバージョンの8.0.11のリリースは2018年4月でした(8.0リリースノート)
参考URL
- Introducing MySQL Innovation and Long-Term Support (LTS) versions
- A More Predictable MySQL Release Model: Calendar Versions, LTS, and Innovation
- Critical Patch Updates, Critical Security Patch Updates, Security Alerts and Bulletins
- Lifetime Support for your software
- Percona Release Lifecycle Overview
- endoflife.date - MySQL